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リスクマネジメント委員会主催研修会報告

平成29年度 第2回リスクマネジメント研修会を終えて

今年度2回目となる、リスクマネジメント研修会は、児童期から成人期、また、相談支援機関を含めた4つの施設や事業所における、「虐待防止委員会」の活動内容を中心とした、事故やヒヤリハットの事例に対する取り組みを報告する内容となっています。

事例発表№1 相談支援事業所「すてっぷ」

函館市石川地区には、「ぱすてる」「あおいそら」「めい」「すてっぷ」の4つの相談支援機関があります。この4機関が連携を図るため、それぞれのチーフが集まり、話し合いの場を持ち、情報の共有をしています。また、各事業所のリスクマネジメント、権利擁護、虐待防止、職員のメンタルヘルスについての今後の対応や連携の在り方についても協議をしています。

石川地区以外の相談支援機関とは、虐待が疑われる事例、差別や合理的配慮に欠ける事例について、連携を図っています。

〇具体的な事例としては、

・相談員が家庭に訪問をした際、母親によるネグレクトが疑われた。

・相談者から障がい福祉サービス事業所による、虐待が疑われる内容の相談を受けた。

・雇用主が長期にわたり、最低賃金を下回る給与で雇い入れをしている。

・相談者から相談支援機関に対する苦情。

等々のことがあげられます。それぞれに対しては、所内で相談し、適切に対応をしていますが、中には、ご本人が泣き寝入りを余儀なくされるケースもあります。

〇上記のように、外部機関との連携を図る時の大切な視点として、

・調整力~コーディネートやコミュニケーション。

・観察力~専門性や客観性、感度を働かせる。

・想像力~環境(人的な要因も含め)や生育歴といった背景にあること。

・決断力~チームで協議し、実行する。

といったことが必要となります。

今後は、石川地区相談支援機関において、虐待防止対策委員会やリスクマネジメント体制を整え、利用者主体の視点を継続し、地域の体制づくりや関係機関とのネットワークづくりを担う、相談支援機関として、理解や啓発、権利擁護に努めていきます。

事例発表№2 障害者支援施設「明生園」

50名の女性が生活している明生園は、平均年齢50.1歳、平均障がい支援区分は、5.3となっています。

〇制度としての虐待防止に関する体制としては、

・虐待防止責任者と虐待防止委員会の設置。

・体制作り。

・虐待防止のチェックとモニタリング。

・虐待発生後の対応と総括。

・相談窓口への通報義務

が、あげられます。その中で、明生園としては、

・月に1度、虐待防止対策検討委員会を開催。

・この委員会の担当者は、管理職、サービス管理責任者、看護師、栄養士、各寮や日中活動のチーフ。

〇具体的な活動内容としては、

・苦情解決部門からの報告。

・看護師、栄養士、各寮や日中活動からの報告。

・障がい者虐待防止と早期発見チェックリストを毎日、確認する。

・気づきメモの提出。

・職業性ストレス簡易表(ストレスチェック表)を年に2回、実施。

・報道による虐待事件の周知。

・リスクマネジメント委員会の報告。

となっています。

〇上記にある、報告の中には、

・定時排泄や整理の際に、大きな声で声かけや促しをしてしまった。(周囲や本人への配慮不足)

・食事介助のため、他者と時間をずらし行っていることに、疎外感を与えていないか。また、食事の提供に配慮をしているか。(放置と思われかもしれない)(あたたかい物を提供しているか)といったことが含まれています。

〇障がい者虐待防止・早期発見チェックリストは、

・虐待の予兆や発生に対する気づきを高めるために使用。

・各寮にて毎日記入をする。(その日の勤務者から勤務者へ引き継ぎをする)

・チェックが多いのは、身体に不自然な傷、痣、火傷がありませんか?と、自傷やかきむしりなど自らを傷つけるような行為が増えていませんか?の2点です。

学習会としては、アンガーマネジメント、リフト浴の操作、震災時の避難方法などをテーマとして、開催をしています。

事例発表№3 福祉型障害児入所施設「おしま学園」

「児童一人ひとりの特性を正しく理解し、必要な支援を実行する」を施設目標に掲げ、40名の児童を対象に、生活全般におけるサポートを行っています。利用児童の7割が中学生や高等部生で、最重度の方の割合が最も高く、軽度や中度の児童の割合が、42%と障がいの2極化が大きくなっています。

虐待防止体制としては、メンバーを施設長、副園長、課長補佐、各寮のチーフとし、月に1回、虐待防止に関する事項の検討や啓発をしています。また、起こってしまった事故を分析し、事故全般に関する防止活動もしています。さらに、事故やヒヤリハットについては、年4回行われている、オンブズマン会議にて報告をしています。

■薬の管理の事例①

・各寮で、利用者の方々の処方内容や処方期間といった情報を、記載する書式が統一されていなかった。

・職員が、担当する寮を変わっても、以前の寮で使用していた統一された書式で薬を管理することで、リスクを減らすことになる。

・薬に関する取り扱いについて確認を行い、統一した書式を検討し、実施したことにより、ヒヤリハットの報告件数少なくなった。

その後の投薬ミスでの原因として考えられるものは

・見直しから期間が経過したことで、服薬管理表の意味合いや寮間での服薬手順の違いで、リスクが高まっている。

・不定期薬の管理について、明確な決まりがなく、受け取った職員が状況をみながら作成していた。

・上記について、委員会の中で話し合った結果、各寮で統一した氏名や錠数、包数を明記した確認シートを用いて、確認の強化を図ることとなる。

■薬の管理の事例②

服薬ミスを未然に防ぐため、委員会で話し合いがされる。その結果、

・引き継ぎを徹底する。

・慣れや手続きになっていないか、環境の見直しについて、定期的な協議をする。

・マニュアルに沿って、ということを重視していたが、大切なのは目的である。なぜ、この薬を飲んでいるのか、個人の状態をしっかりと把握する必要がある。

・大切なのは、繰り返さないこと。そのためにどうすれば良いかを、自分達で考えていく。

こととなる。

事例発表№4 幼保連携型認定こども園「浜分こども園」

〇全国の保育所内における、職員による虐待事例。

・子どもが大人しくしないので、暗い部屋に閉じ込めた。

・わさびを塗りつけた唐揚げを口の中に押し込む。

・口に粘着テープを貼り、剥がす、殴る。

・しつけの一貫として、園児の尻を叩く。

・指導の一貫で必要と思えば、げんこつや平手打ちもしていた。

〇浜分こども園での虐待防止対策として、

・園内での虐待防止研修会の実施。

・虐待防止自己チェック、アンケートを年間2回実施。

・ストレスチェックを年間2回実施。

〇園内虐待研修会では、

・虐待防止自己チェックアンケートの結果をふまえ、不適切と思われる対応を、クラスで検討し、対策を考える機会としている。

・今年度は、更にリスクマネジメント会議で、虐待ヒヤリ(不適切と思われる行動や対応)を参考に対応を検討する。

〇虐待防止自己チェックアンケートに関する職員の声としては、

・前回のアンケート以降、気をつける行動が増えた。

・自分では、虐待や不適切な行動と思っていない事でも、第3者から見ると、その行動に相当する事があるので、常に意識し、自分の行動を見直す必要がある。

・チェックシートを定期的につける事で、確実に「気をつけよう」という気持ちが生まれ、今まで意識しなかった事を自然と意識できるようになってきたと思う。実際、7月のチェック後、改善出来た。

・定期的にチェックを行う事で、再度、気が引き締まるので、継続すべきだと思う。などが、あげられています。

〇職業性ストレス簡易調査の結果をふまえ、少しでも改善するために取り組んだ事としては、

・各職員の仕事量と仕事の仕方をリサーチ。

・保育、教育時間以外の業務時間と内容の確認。

・業務時間が不足している職員への時間調整。

・職員の業務内容の整理。

これらを実施することで、時間に対する余裕が生まれる。

〇虐待や不適切な対応に対する職員の意見。

・イラッとする事はあるが、こういう時は疲れているかなと思う。そこは、理性があるので態度に表していないが、虐待をする母親は、こういう時にするのかな?と思うことはある。

・絶対に起こってはいけない事だ。一人で仕事をしていると思わず、周りの人達と話したり、協力することで張り詰めた気持ちが、分散されると思う。

・自分も子ども達に対して、不適切な行動がないとはいえない。周りに気づいている人達が、お互いに声を掛け合う事ができる職場だと良いと思う。

・自分ではしていないつもりだが、無意識で行っている事があるかもしれないので、常に声かけなどを客観視できる様に意識していこうと思う。

・自分で意識せずに不意に行った事でも不適切な行動になってしまうことがあるかもしれないので、関わりを一層、気をつけていかなければならないと思う。

子どもたちの対応について、「これでいいの?」「どうだろう?」という疑問を持ちながら、これからもチームで取り組んでいきたいと思います。

リスクマネジメント委員会 責任者 川又賢一

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