平成20年3月に3丁目に移転改築し4年が経ちます。移転当初は施設・設備面 の危険予測と幼児期の個々の発達段階においての身体的機能面等、職員・子ども・ 保護者の新しい園舎での過ごし方について、より安全意識を高めていきました。
新園舎の構造上の問題ではない転倒・噛みつき等の小さな怪我は起こりました。 事故が起きた時の報告はされますが、気づきメモは用紙を配り期限を決めて呼びか けなければ提出率はかなり低い状況が続きました。しかし、今年度に入り自主的に提 出する職員が出始め、声をかけながらでも継続してきた成果が少しずつですが見えてきました。
① 同じ場所での安全チェックでも使用する年齢によるリスクの視点の違いへの気づき。
• 日常点検表の内容を検討し、新たに各クラスの点検を担任以外の職員が行い、具体的に点検表に記入し、すぐに改善していきました。それを伝え合う事で視点の違いは少なくなりました。
• 遊戯室、園庭等で違う年齢の子ども達と一緒に遊び、過ごす中でそれぞれの年齢の動きの違いを感じ、危機意識に少し変化が見られるようになりました。
② 子どもの状態の気づき(寝不足、朝食を食べていない、熱がある等)。
• 日常的に家庭での子育ての様子を知り、必要があれば、さりげなく働きかけたり、
連絡帳等で様子を伝え合います。連絡帳を書いてくれない保護者もいます。
そのような時は「今日は散歩に行きますが、外に出ても大丈夫ですか」「体調はどうですか?」等、積極的に声を掛けていきます。登園時と午後に検温し、更に熱が
高めの時は、様子を見て検温回数を増やし健康表に記入し、健康状態等の把握をしています。職員が子ども一人ひとりの状態を意識する事で登園時、「変わりないです」
「元気です」等と子どもの様子を知らせて下さる保護者の方も多くなりました。
③ 常生活で多く過ごす場所以外での気づき。
やはり、日常過ごす場所以外での気づきは、殆ど提出されない状態が続いています。
今後、散歩等活動の多い園外においての気づきも高めていきたいと思います。
当園は駐車場から横断歩道のない車道を渡り園舎への送迎となります。この現状から職員以外の気づきがありました。
‹地域の方の気づき›
• 毎朝、近隣で小学生の登校を見守っている方から
保護者が車から荷物を取っている間に子どもが道路を渡り園に向かう。
携帯電話を操作しながら歩いている保護者は視点が子どもに向いていない。
手をつながず歩く親子も多く、友だちが見えると咄嗟に走り出す。
さらに○○の車の方等具体的に保護者が特定できる情報もいただき、個別に働きかける事ができました。
職員も通勤時、気にかけてはいるが把握しきれない気づきを伝えていただき、それを具体的に文章にして注意を呼びかけました。
‹保護者の気づき›
• 地域の方同様に駐車場から園舎内に入るまで気づいた事、直接園には関係ないが地域の○○店で保護者が買い物中、 駐車場で子どもが遊んでいると園外の子どもの様子等の情報も伝わってきます。園外での出来事であり、関係ないといえば確かにそうですが、 保護者の生活スタイルが子どもの成長や園生活においても大きく影響を及ぼします。
‹子どもの気づき›
• 保育園は様々な年齢の子ども達がそこを共有しています。就学前の子どもが芝山を駆け下ります。 そこに、歩き始めの1歳児がいたら衝突し大きな怪我に結びつくかもしれません。年齢の低い子がいたら危険を感じ方向転換する等、 子ども自身が危険を回避する力も必要です。
我が園は120名定員となっておりますが、現在132名の在籍で今年は更に、途中入所児が数名おり140名強となります。
利用者数が大幅に増し、さらに危機管理が求められています。低年齢児は大人の視点での注意が大切ではありますが、育ちの中で子ども自身に、 危険の予測と回避する力を育む為の努力が求められてきていると感じます。その為には保育者の事故に対する認識、危険予知能力、 子どもの発達段階や特徴の把握等を高めていかねばなりません。職員間で危険防止の為の情報交換を更に強化し、 園内の危機管理とともに子ども自身の危険回避の力を育てる、大きな課題が見えてきました。
(2012年7月 七重浜保育園)