侑ハウスは、平成13年1月に開設した障害者支援施設です。現在、40名の利用者の方が暮らしています。日中活動として、椎茸栽培や、乾燥椎茸等の作業を行っています。
侑ハウスでは、気づきメモなど書類によるものの他、会議や毎日の打ち合わせの中でのちょっとした気づきを出し合うことが多く、それを元に必要な対策が行われています。また、気づきとは本来、未然に事故を回避するためにあるものですから、起きてしまった事故のあとからも、職員間でなぜ気づかなかったのかを話し合っています。今回は実際に侑ハウスで起きてしまった事故と、そこからの気づきの活用という視点から、一つの事例を取り上げたいと思います。
現在、40名中25名の方に飲み薬が処方されており、間違わないよう、作成から実際の服用確認に至るまで支援が行われています。しかし、先日渡し間違い事故が発生してしまいました。職員の勘違いから、同日の朝食後薬を夕食時に誤って渡してしまいました。発覚後大至急、病院の担当医に連絡をとり、服用内容の調整などの指示を受け、幸い大事には至りませんでしたが、原因の洗い出しや反省とともに、薬の取り扱いに関して全職員で見直すきっかけとなりました。
この事故を受け、対策を立てました。薬の取り扱いに関する新しいマニュアルを作成すること。そのために、必要な気づきを皆で出し合うことになりました。
気づき
①その日、その時によって薬を出す職員の担当が曖昧ではないか。
②薬の準備の仕方、渡し方に寮毎、職員毎に細かな違いがあるのではないか。
③新人職員でも誰でも、見てわかる場所、ケースの工夫をしてはどうか。
④渡す前に、別の寮の職員にも確認してもらうと思い込みが減るのではないか。 など
こうして、様々な気づきを活用し、手順や使用する物の統一を図り、現状に沿ったマニュアルが完成しました。以下、その一部を解説致します。
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‹薬配布ボックス› 事前に他寮職員と交換し、ダブルチェック後、食事場面で一人ずつに渡します。渡す職員は原則、その日の夜勤(夕〜朝)職員が担当です。 |
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‹薬確認一覧› 誰が何袋何錠なのか、朝昼夕就ごとの一覧です。上の配布ボックスの蓋にも添付し、随時確認しています。 |
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‹回収ボックス› 服用後の薬の空袋、ゴミを回収し、飲み残し等ないか最終確認しています。こういったケース、表も各寮で同じ物を使っています。 |
今回出来上がったマニュアルや、職員間で統一した手順なども、その都度、常に見直しが必要です。大事な事は、利用者の日常生活を支援する中で、常に問題意識を持ち、気づきを皆で共有することだと感じています。
今後も、職員一人一人の気づきを大事にして、リスクの回避に努めていきたいと思います。
(2013年7月 侑ハウス)