「自閉症」というそのネーミングから
“心を閉ざし、自分の殻に閉じこもってしまう病気”
と誤解されやすいですが、それは正しくありません。
はっきりとは原因が解明されていませんが、
自閉症の原因は先天的な脳の特性によるものであることがわかっています。
“心の病気でしょ・・・” “育て方が原因だ” というのはすべて誤解です。
自閉症には、大きく3つの特徴があります。
3つの特徴がセットになって、その人に認められたときに「自閉症」と診断されます。

対人関係や社会性を調整するのが苦手

場の空気、雰囲気がよめない、わからない
社交辞令的な振る舞いができない、わからない

コミュニケーションをとるのが苦手

話し言葉で伝えることが苦手
話し言葉でおしゃべりできても、一方的に話したり、独特な言い回しや独り言が多い
話し言葉がない人もいる

独特な興味関心や固執的な行動がある

物の位置(場所、向き)にこだわる
道順にこだわる
同じファッションにこだわる
固執的な行動(くるくるとまわる、手を顔の前にひらひらとかざす・・・)
ダスティン・ホフマンが演じた「レインマン」(1988年)のレイモンドは、上記の特徴がある典型的な自閉症の青年として描かれています。
自閉症の3つの特徴が客観的に観察できる特徴であるのに対し、自閉症の人の「見え方」「感じ方」「考え方」の特徴は、見た目にはわかりにくい内面の特徴を示しています。なぜ自閉症の方がある状況の中で、一般的に特異に映る行動をするのかを知るうえで、とても貴重な手がかりになります。
目で見て考えることが得意
-わたしは絵で物事を考える-
テンプル・グランディンTemple Grandin (アメリカ合衆国) 『Thinking in Pictures』(1997)
曖昧な言語の情報よりも、内容が具体的に見える視覚的な情報のほうがイメージしやすいのです。
情報や概念を一まとめにして考えることが苦手(中枢性統合が苦手)
相手の表情や語気の強弱などから、相手が怒っているのか、悲しんでいるのかを知ることが苦手です。
まるで「木を見て、森が見えない」さらには「葉を見て、木が見えない」かのようです。
注意の向け方がユニーク(狭くて深い興味・関心)
極めて細かい一部にピントを合わせロックしてしまうかのよう。
同時に複数のことをするのが苦手。一つのことに集中し、没頭することが得意です。
空間と時間を組織化することが苦手(実行機能の困難さ)
空間と時間の中で迷子になっているかのよう。
計画を立て、実行し、修正し、振り返ることが難しい。優先順位を考えながらの臨機応変が難しい。
感覚刺激を自分でコントロールするのが苦手(感覚刺激の偏り)
人によって極端な過敏さ、極端な鈍感さがある。

- 雨に当たることが、針が刺さるかのように感じる。
- 衣服の繊維が皮膚にチクチク刺さる感じがして、着ていられない。
- 蛍光灯の光が耐えられない。
相手の立場に立って心を読み取ることが苦手(心の理論の弱さ)
相手がどう思うか、また自分がどう思われるかを推し量ることが難しい。

- 一方的な会話を延々と続けてしまう。
- 冗談を冗談と受け止められず、真に受けてしまったり、比喩表現もその言葉通りに受けとめてしまう。
「自閉症の人が好むこと」の視点を活かすことで、「暮らし」「はたらくこと」「楽しむこと」に必要なスキルや手順などを肯定的に伝えることができます。また、自閉症の方が複雑に見えたり、混沌と感じて不快に思っている状況の改善にも有効な視点となります。
秩序だっていること
モノの定位置を大切にする、整然とした状態が好き。

- ジグソーパズルが得意。
- 発行巻順に本が並んでいると落ち着く。
明確で具体的であること
思考的ではなく直感的にイメージしやすいものがわかる。

- 待ち時間をグラフで示した信号機
- 活動内容がわかりやすく表示されたピクトグラム
慣れ親しんでいること
以前に学んだやり方、流儀、スタイルが安心できる。新たな手順を強いられるのは強いストレスになることも・・・。