リスクマネジメントの取り組み

ワークショップはこだて

 

リスクマネージャーのコラム 「ワークショップはこだての取り組み」

 

事業所の概要

 

 「ワークショップはこだて」は昭和50年に授産施設的運営を目指した入所更正施設『函館青年寮』に併設して開設されました。 それから35年の月日が流れましたが、この間多様化する利用者のニーズや想いに応える形で、分場方式の導入、規模や作業内容の変更及び拡充、 定員増を重ねてその形も中身も幾多の変遷を重ねて今日に至っています。

 

 現在58名の利用者が自宅やケアホームなどから通って来ています。そのうち半数以上がバス利用もしくは徒歩での単独通勤をしています。 開設当初辺り一面畑地だった石川地区(「ワークショップはこだて」所在地)は現在市内有数の住宅街へと趣を変えましたが、 周辺の交通量は格段に増え、利用者の通勤途上の事故のリスクは非常に高くなっています。

 

リスクマネジメントの取り組み

 

 昨年の初夏、通勤途上の事故が続くことがありました。幸い軽微なケースが殆どでしたが入院した例も一件ありました。 以前より必要に応じて通勤指導・支援を行ってきましたが、通勤途上の全てを掌握しての安全確保は困難な状況です。 施設でも退勤時などには普段から交通ルールやマナーを守るよう働きかけていますが、家族や職員の目がどうしても届きにくい時間帯ですので 様々なリスクが潜んでいるのが現実です。

 

 昨年は事故対策として、身分証明書の新調、通勤ルートの確認及び変更、通勤確認体制の強化などに取り組みました。 今年は“初夏の交通安全週間”を設けて交通ルールやマナーの再確認、交通安全に対する意識の向上に努めました。

 

課題として

 

 「ワークショップはこだて」は開設以来“自分の足で通う”ということを通所をする上での基本的な約束事にしてきた部分があります。 しかしここ数年の間に通勤時間が1時間近くかかる方も珍しくなくなってきたり、施設の周辺も危険箇所が増えてきました。 さらにお年を召して歩行機能の衰えや体力的な低下が目立つ方も増えてきました。 通所が難しくなると在宅生活そのものも危うくなる場合があります。ケースバイケースですが、今後は施設による送迎支援も視野に入れているところです。 安全を強制するのか、それとも本人の意向(例:私は自分の足で通いたい!等)を尊重するのか、という二者択一ではなく、本人の気持ちを大切にしながらも 安全を確保する方策の見極めをいかにするか、という部分が非常に難しいと感じています。

 

 通勤途上も含め支援の現場で事故が起こる度に対応策を検討しますが「それでも事故は起きる」というのが実感です。万事を尽くして事故が発生した場合の対応は“素早く、且つ誠実に”をモットーにしたいと考えています。

 

(ワークショップはこだて)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。