リスクマネジメントの取り組み

侑愛荘 (2010年12月)

 

侑愛荘の取り組みから

 

 侑愛荘は昭和51年に開設された入所定員80名の指定障害者支援施設です。主に高齢期の方達が入所されており、生活を送っています。

 

 本年度スタート時侑愛荘の平均年齢は男性69.4歳、女性70.1歳、全体では69.9歳で12月現在では平均年齢70歳を超えています。近年ADLの急激な低下により 様々な問題が発生しており、様々な危険要素が増大しているのが現状です。

 

気づきメモの取り組み

 侑愛荘では昨年度より気づきメモの取り組みとして、リスクマネジメント委員が主となり、各職員へ呼びかけを行い、3つの時期に期限を区切って 気づきメモの提出をお願いし取り組んでもらいました。昨年度の集計結果は以下の通りです。

 

総提出数180件

 

 

食堂29件
発生予想 件数 内訳
うしお寮 転倒3.受傷1
ゆたか寮 転倒1
新棟 23 転倒16.転落2.受傷4.誤薬1
本荘 その他1
事故分類 転倒20.転落2.受傷5.誤薬1.その他1

 

 

トイレ25件
発生予想 件数 内訳
うしお寮 転倒5.転落3.その他1
新棟共用 転倒6.その他1
本荘共用 転倒1.受傷1
ゆたか寮 転倒1
そよかぜ寮 転倒1
あけぼの寮 その他1
いくよ寮 受傷1
うらら寮 転倒1
その他 転倒1
事故分類 転倒16.転落3.受傷3.その他3

 

 

ディルーム24件
発生予想 件数 内訳
あけぼの寮 転倒1
うしお寮 16 転倒16
ゆたか寮 転倒1
うらら寮 転倒1
そよかぜ寮 転倒1.その他1
その他 転倒1.その他1
本荘共用 その他1
事故分類 転倒21.その他3

 

 

居室17件
発生予想 件数 内訳
ゆたか寮 転倒1.その他1
うしお寮 転倒3.その他1
あけぼの寮 その他1
いくよ寮 転落1
そよかぜ寮 転倒3
その他 転倒3.転落2.受傷1
事故分類 転倒11.転落3.受傷1.その他3

 

 

玄関16件
発生予想 件数 内訳
本荘共用 転倒8.転落1
新棟共用 受傷1.その他3
その他 転倒3
事故分類 転倒11.転落2.受傷1.その他3

 

 

浴室15件
発生予想 件数 内訳
本荘 転倒5.受傷1
新棟 転倒5.受傷1.その他2
その他 転倒1
事故分類 転倒11.受傷2.その他2

 

 

廊下15件
発生予想 件数 内訳
ゆたか寮 転倒3
うしお寮 転倒2
本荘共用 転倒8.受傷1
新棟共用 転倒1
事故分類 転倒14.受傷1

 

 

その他39件
発生予想 件数 内訳
うしお寮 転倒1.転落1.その他3
あけぼの寮 転倒1.受傷1.その他2
いくよ寮 転落1
うらら寮 転倒1.転落1.受傷1
本荘共用 転倒3.その他3
新棟共用 転倒3.受傷1.その他1
その他 15 転倒7.受傷1.その他7
事故分類 転倒16.転落3.受傷4.その他16

 

集計結果から

 昨年度の集計結果では、食堂、トイレ、ディルームを取り上げたケースが多く、食堂やディルームは、人が集中して集まる場所であり、危険要素が 大きいと感じている職員が多いようでした。実際に事故が起きているケースもこういった場所が多く、それぞれの経験の側面からも報告書が作られていたようです。
予想される事故については、圧倒的に転倒事故が上げられています。侑愛荘の利用者の事故事例のトップになっていることからも、支援者側がもっとも警戒している ということが見て取れます。

 

本年度の取り組み

 本年度の取り組みとしては、昨年度のように各職員へ提出してもらう形ではなく、会議の際に意見を出し合い、それぞれの事例について話し合い、 どういった対応が相応しいかを討議する形で取り組みを行ってきました。ただ提出して終わりではなく、一人一人の職員が話し合いを持つ事で、自らもリスクマネジ メントに関わっているとの意識を持ち、危険予知訓練の効果を高める事が出来たのではないかと感じています。
また、話し合いの中から、実際に設備の補修や修理をする等改善へと繋がったケースもあり、今後もより良い効果を期待しております。

 

本年度題材として上がったケース

 ・脱衣場のパネルヒーターが壁の下側に付いており、火傷の危険性がある

 ・利用者居室入り口付近の絨毯が撓み易く滑ったり、躓く危険性がある。

 ・ある寮の玄関前にある下水の蓋が割れている。

 ・ベッド周辺に高い棚がありその上に物を置いてあると落下した際危険である。

 ・お茶くみを利用者の座っている場所で行っており、混雑した中で行うのは火傷の危険性がある。

 

まとめ

 侑愛荘は本年度平均年齢70歳を超え、ADLの急激な低下により様々な問題が発生しており、早急な対応が求められています。 当然日常生活におけるリスクは介護ニーズの増大とともに高まり、現状に適した対応策を考えていく必要があります。
気づきメモは、危険予知訓練の一つです。ちょっとした出来事を、危険という観点から見直すことで、事故が起こるのではないかという意識を高めることが出来ます。
今後もこれまでの取り組みを活かし、リスクの軽減に努めていきたいと考えています。

 

(2010年12月 侑愛荘)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。