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おひさま
児童発達支援事業所
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障害者支援施設
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北海道知的障害福祉協会主催、「平成27年度 障がい者虐待防止・権利擁護指導者養成講座」に参加をした、職員4名が分担をして、講座で学んだことを法人内の職員に広く伝えています。
『この講座の目的は、人権の大切さを学んだ人たちを、たくさん養成していくこと、学んだ人たちがそれぞれの地域、職場に戻って職員に伝えていくこと、そして、職場で人権について話し合い、考える渦を作り、日常的な関わりや支援のあり方を振り返っていただくことにあります。よって「伝達者養成研修(伝達研修)」と位置づけ開催するものです。』(開催要項より抜粋)
以降、紙面の都合上、割愛しながら研修会の内容をご紹介していきたいと思います。
障がい者福祉の現代史を辿りながら、歴史の中で産み出され、培われた、現代の障害者福祉を方向付ける、基礎理念について考える。
ノーマライゼーション。「障がい者」を排除するのではなく、障がいを持っていても、健常者と均等に当たり前に生活できるような社会こそがノーマルな社会である、という思想のこと。
自立の思想。「他者から拘束されず、自らの生活のあり方を自らが決定していくこと」が、自立生活であるという思想のこと。それまでの思想。(経済的自立、身辺自立が絶対条件)とは、異なるものである。
社会モデル。子どもの生きづらさ、大人の生きづらさ、高齢者の生きづらさ、様々あります。障がい者の心身機能の障害が生きづらさを生み出すという考え方(=個人モデル)に対して、障がい者を取り巻く社会が、生きづらさを生み出している、という考え方のこと。
合理的配慮。2006年の国連「障害者の権利に関する条約」で記載された概念であり、「障害者から何らかの助けを求める意思があった場合の、負担になり過ぎない範囲の社会的障壁を取り除くために必要な便宜」のこと。
上記4つの理念がもたらしたものは
①〈異〉を認め合う共生を基本原理とする社会。
②本人の精神面で自立を重視する社会。
③変わるべきは障がい者ではなく、社会。
④生きづらさを解消するため、配慮できる社会。
である。
『みなさんは、利用者の方々をどのような呼称で呼んでいますか?就職したての頃は、「〜さん」だったものが、現在まったく違う呼び方になっている、という人も多いかもしれませんね。一体それはどうしてなのでしょう?』(講座テキスト 資料1より抜粋)
「子に託す親の思いを理解する」
一人ひとりの名前には、親の思いがつまっている。名前は、親から子への贈り物。一人ひとりに親の願いがこめられている。
「利用者のために・・・」から「利用者の立場で・・・」
自分を利用者の立場に置き換えて考えるのが基本。つまり、やさしさは、先回りしてやって上げる事ではない。「できる」か「できないか」ではない。自分がされたら嫌なことは、絶対にしない。相手のプライドを保つ事である。
ここで、フロアーの参加者の方々の名前を実際に、「名字にさん付け」、「下の名前にさん付け」、「名字にちゃん付け」、「愛称」、「下の名前を呼び捨て」で呼んで返事をして頂きました。発表者と呼ばれた方の関係性は薄いです。初対面の方もいます。そういった中で、様々な呼び方をされて感じたことを呼ばれた職員や聞いていた職員は、これからの支援に生かして頂ければと思います。
「会話のキャッチボールをするために」
支援者からの投げかけは、わかりやすい情報提供。利用者からのニ−ズの受け止めは、コミュニケーションの基本であり、利用者の要望や意見を掘り起こすことにもなる。
わかりやすい情報提供とは、緊張しない雰囲気や場面を設定する、ゆっくりとはっきりと話す、外来語や難しい表現などは使わない、視覚的に情報を伝える、体験を通して伝えること。
コミュニケーションの基本とは、待つこと(せかせたりしない)、聴くこと(満足感が得られるような誠実な姿勢で聞く)、ゆっくり繰り返すこと。
利用者の要望・意見の掘り起こしとは、待っているだけでは、表に出てこない、利用者と支援者の円滑な関係や確かな信頼感をもつこと。
利用者の方々との関わりから学んだことは、相手の立場になって理解すること、私たち支援者が誠実に向き合うこと。これらは、権利擁護に繋がる第1歩です。
■行動障がいの定義
・直接的な他害や間接的他害(睡眠の乱れ、同一性の保持など)、自傷行為などが通常では考えられない頻度で出現し、その養育環境では著しく処遇が困難な者であり、行動的に定義される群。 (問題行動という表現は、その人が問題だと思われてしまいそうなので使いたくない表現)
・不適応行動群は、行動そのものが問題なのではなく、周囲の環境との関係性に問題があるもの。
・行動障がい群は、不適応行動群の中で、支援の道筋にのっていくことが難しく、医療からのサポートも非常に重要になってくる。
・不適応行動とは、本人が、著しく障害を被る行動〜自傷、脅迫的行動、生活の大きな乱れ、感情の大きな乱れ。
他者及び周囲が著しく障害を被る行動〜他害、破壊、周囲に不快感を与える行動。
「著しく」とは〜少なくとも2名以上の支援者のとらえ方が一致した時に「著しく」と表現することができる。1名の判断ではできない。少なくとも2名以上の支援者がチームを組む必要がある。
不適応行動への6つの基本方略
1,構造化を整える〜今行っている構造化を見直すことで、その方の日常のストレスを下げ、許容範囲を広げる
2,新規場面で勝負する〜教え直すよりも、新しい場面やルールとしてインプットしなおした方が有効なことが多い。
3,違う考え方を知る〜本人に「周囲が何を期待しているのか」を伝える。代替行動があることを伝える。
4,スモールステップでアプローチする〜短いスパンで方略の評価と修正をしていく
5,カムダウンエリアを活用する〜パニックになることはある。パニックは、ひとりで立ちなおれればOK。
6,投薬調整も考える〜投薬が本人を楽にするなら、当然、投薬調整も方略のひとつになる。しかし、主たる方略ではなく、あくまでも支援をどうするかが最優先である。
講演の概要:権利侵害・虐待・不適切なケアの芽を摘むための基本視点である、「利用者本位サービスをどのようにしたら、現場の中で実現できるか」を学ぶ。
保障すべきは、「利用者の権利」。質の高いサービスを受ける権利は、社会福祉法第78条で保障されている。
質の高いサービスとは、利用者との関わり方や処遇の研修を受け、適切な個別支援計画を作成し、実施をする。また、職場の中での報告、連絡、相談等のチェック体制を構築し、生活介護、入所支援、就労、社会参加等一つひとつの支援を向上させること。
■利用者本位サービス、権利擁護がなかなか進まない職員の類型
①セルフマネジメント欠落職員
感情がうまくコントロールできず、感情丸出しの業務スタイル。
②なげやりあきらめ職員
口に出てくるのは、なげやりな発言ばかりで、他の職員のモチベーションを下げてしまう。
③オイソガ氏職員
忙しいのが口癖で、別に忙しくない時であっても、さも忙しそうに職場内を動き回る。
④独断専行職員
自分の行うことが正しいと思いこみ、周囲と意見のすり合わせを行う必要がないと思いこんでいる。
⑤若年性楽隠居症候群職員
年齢、経験年数にほとんど関係なく、達観して「十分に経験を積んだ」「学ぶべきものはない」「あとはみなさんにおまかせします」などと、ご隠居さん的な言動を示す。
⑥当事者意識欠落職員
職場内でうまくいかないと、他者、上司のせいにしようとして、思いどおりに仕事をこなせない。責任の一端は、自分にもあるのに、それを認めようとしない。
⑦気づき力欠落職員
自分が今何をすべきか、自分で気づけない、指示がないと動けない。
⑧評論家職員
職場内のできごと、課題や問題などについて、陰であれこれと批判ばかりで、行動を起こさない。
⑨勤務時間休憩職員
利用者をほったらかしで、私語に興じる。
⑩権利侵害職員
プライバシーや尊厳を軽視した、支援、接し方をしている。
■求められる8つの力を持った人材とは
①職場内に潜む問題や課題、利用者のニーズ等に気づく、気づき力。
②気がついたら、すぐに行動を起こす、率先垂範力。
③やるべきことを実行に移し、改善改革をやり遂げていく、改善力(改革実現力)。
④成果を示すことで周囲を納得させる、納得力。
⑤権利推進にむけて不退転の決意で動く、権利推進力。
⑥不適切な業務姿勢、虐待を指摘されかねない行為、権利侵害に陥った同僚、後輩、部下など働く仲間をその状況から救い出す、権利侵害行為抑制力。
⑦後輩、部下、同僚に良き手本を示す、ロール・モデル提示力。
⑧ともに働くと、周りにいる職員がプラス思考になり、持てる力を発揮できるような、モチベーション向上力。
■職場をより良き方向に導くには何が求められるか
①感謝する姿勢
②感激する姿勢
③感動する姿勢
④謙虚な姿勢
⑤共感する姿勢
まとめとして
利用者に対する虐待報道が後を絶ちません。法人としても人ごとではありません。自己研鑽、自己チェックをして、職員間で話し合うこと、討論することが大切だと思います。サービスの質の向上が、事故の軽減につながります。起こってはいけない虐待を未然に防ぐ ためにも、サービスの質の向上は、必要不可欠なものだと信じます。
今回のような研修会を重ね、利用者の人としての尊厳が守られるよう、リスクマネジメント委員会からの発信を大切にしていきたいと思います。
リスクマネジメント委員会 責任者 川又賢一