リスクマネジメントの取り組み

新生園 (2013年7月)

 

新生園 気づきメモの取り組みから

 

 新生園は昭和43年1月に開設され、入所定員90名の指定障がい者支援施設です。

 今年8月1日時点での新生園の平均年齢は、全体で46.6歳(男性46.36歳 女性46.89歳) となっており、徐々に高齢化が進み、急激なADLの低下や疾病等から沢山の問題が表出しており、日常生活の様々な場面でリスクが高まっている現状があります。

 今後、多様化する利用者のニーズに対応出来るよう、建物の改修やソフト面を含めた支援体制を整えていくことが必要となっています。

 

気づきメモの取り組み

 今年度も引き続きリスクマネージャーを中心として6名の委員が主となり、各職員へ気づきメモ提出の啓発を行っています。しかし最近は、数年間気づきメモを取り組んできて、たくさんの予想発生事故分類と形態が提出され、チーフ会議・職員会議等で検討と分析・改善を積み重ねていった結果、提出数が減少している現状がありました。

 そこで通常の気づきメモに加えて、今まで見逃しがちだった箇所や場所を限定し、 よりポイントを絞って行なうことにしました。まず、今年度半年間は生活介護の活動場所、またはその周辺で予想される事故に焦点を当て、提出していただくことにしました。

 

 新生園の生活介護事業は生産活動を中心に働くことを目的とした「ワークセンター大地」(製函工場)と余暇的活動・機能訓練・軽作業等の支援を行なう「デイセンターおおぞら」(陶芸・農場等)に編成されています。現在まで提出された気づきメモの集計結果は以下の通りです。

 

・予想発生事故分類  (全提出131件)

(ワークセンター大地)  計64件

転倒 接触
(車両)
接触
(器物)
接触
(人)
火傷 転落
(器物)
その他
17件 11件 17件 4件 2件 4件 9件

 

 

(デイセンターおおぞら)  計67件
転倒 接触
(車両)
接触
(器物)
接触
(人)
他傷
他害
転落
(器物)
その他
32件 9件 4件 4件 4件 2件 12件

 

 

・予想発生場所分類

(ワークセンター大地)  計64件

作業棟内 作業棟出入口 作業棟前道路 作業棟階段 その他
31件 10件 13件 2件 8件

 

 

 

(デイセンターおおぞら)  計67件
デイ棟
デイ棟内 玄関 トイレ 洗面所 休憩室 デイ棟前道路
12件 10件 2件 1件 3件 4件

 

 

陶芸棟
陶芸棟内 玄関 トイレ 階段(玄関前)
6件 4件 3件 2件

 

 

E棟(機能訓練棟)  67件
E棟内 玄関 トイレ 洗面所 農場作業棟内 農場畑 作業棟前道路
5件 4件 2件 2件 3件 1件 3件

 

 

集計結果のまとめ

 ワークセンター大地は、鰊箱作成のため沢山の機械が配置されており、「接触による怪我・転倒」に関する報告が殆どを占めていました。また、空調設備が無いため「熱中症の危険性」という夏期間における特徴的な報告もありました。

 デイセンターおおぞらでも「転倒」が大部分を占めています。おおぞらは、高齢の方・障がいの重い方が利用されており、身体機能の低下が表れている方が多いため、ちょっとした段差や傾斜でも危険であるという認識が多く報告されていました。

 また、共通して「車両との接触」が多くありました。これは、午前・午後活動終了時に移動する際、車両の確認をせずに道路に出ようとしてしまう・活動棟の出入り口が道路に面している・道路に歩行スペースの区切りが無い等の内容でした。この件に関しては重大事故に繋がる恐れが高いので、すでに一部対策を講じています。

 

 今回は特定の場所に焦点を絞って取り組んでもらったことで、現在まで上がらなかった内容と報告数も増える等、新しい気づきや視点から多くの情報を得ることが出来ました。更に再検証を進め、リスクが高いと思われるところから改善を進めて行きたいと思います。

 職員一人ひとりが事故に対しての高い意識を持ち、予防対策を積み重ね、利用者の皆様が安心・安全に生活出来るよう、今後も努力を続けて行きたいと思います。

 

(2013年7月 新生園)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。