リスクマネジメントの取り組み

星が丘寮 (2012年7月)

 

星が丘寮の気づきメモの取り組みから

 

 星が丘寮は知的障がいを伴う、成人自閉症者を主たる対象にした施設です。そこでは、暮らし全般をトータルサポートする入所施設の機能を生かし、 利用者一人ひとりの特性・機能レベルやコミュニケーションレベル等を把握した上で、一人ひとりに応じた支援を行っています。

 

気づきメモについて

 気づきメモの取り組みを通して、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気付くこと、予想される事故に対して事前に対応することで、大きな事故を未然に防ぐことを目的に行ってきました。 また、各ユニットの職員から提出される気づきメモの内容を職員間で確認することによって、事故を未然に防ぐための「気づき」を共有できるように取り組んでいます。

 気づきメモの提出は、平成23年度は25件、平成24年度は20件の提出がありました。 前回のホームページでの報告件数が平成21年7月から平成22年3月までが62件となっており、横ばいの状態が続いています。

 今回は、気づきメモから予想される事故に対して、事前に対応することで事故を未然に防ぐことの取り組みを報告させていただきます。

 

これまで提出された気づきメモから予想された事故の内容(H21年4月〜H24年3月)
怪我(骨折・打撲・裂傷・やけど) 健康(誤飲・誤食・誤嚥) 物損(自他の備品) その他
88件 10件 6件 3件

 

※日常の業務のなかで、怪我に関することの「気づき」が多くなっています

 

取り組みのひとつとして〜気づきメモによって予想される怪我の事故を未然に防ぐ

 

 

怪我の要因
転倒による怪我 環境要因の怪我 外的要因の怪我
34件 37件 11件

 

 

具体的な内容
建物の構造上の問題等で引き起こされる事故 備品の整備不足によって引き起こされる事故 その他
68件 11件 3件

 

 

①建物や環境によって引き起こされる怪我に関しては、気が付いた時にすぐに具体策を講じています

 

事例)居室の入口が滑り転倒の危険性がある
場所 居室入口
状況 居室入口付近が滑りやすくなっている
対応 居室入口に滑り止めのシートをはる

 

 

事例)浴室内で転倒の危険性がある
場所 浴室内
状況 浴室の床が泡の多い状態になっている
対応 床に泡がある際は、こまめに洗いながす

 

 

事例)雪のため移動の際に転倒の可能性がある
場所 A棟と乾燥室の間
状況 雪のために滑りやすい状態になっている
対応 適時通路の氷割り、砂・融雪剤を撒き、氷を滑りづらくさせる配慮を行う

 

 

②備品の不具合によって引き起こされる可能性のある事項について同様に、すぐに具体策を講じています

 

事例)欠けている食器を使用して怪我をする恐れがある
場所 食堂
状況 食器棚に欠けている食器がある
対応 食事準備の際に、欠けている食器がないか確認する
食器棚にある食器も含めて、定期的に食器の欠けがないかチェックする

 

 

事例)揺らしている椅子に足の指を挟める危険性がある
場所 作業棟
状況 休憩中の椅子を揺らしていた
対応 休憩中のみ椅子を揺らしていることから、休憩の場所を変更して椅子が揺れないものと変更している

 

 

事例)作業手袋に穴があいていることで指の裂傷の危険性がある
場所 作業棟
状況 作業手袋のほつれ(小さな穴)がある
対応 作業準備の際に、ほつれ(小さな穴)があるか事前に確認する

 

おわりに

 気づきメモから予想される事故に対してその都度対応を行ってきたことで、実際のヒヤリハット・事故に至らなかった事例があると考えています。 しかし、気づきメモの提出件数は横ばいの状態になっており、提出に対しては積極的な働きかけが必要だと考えています。 気づきメモの目的を今一度周知し、記入しやすいメモの形態や利用者の方の機能レベル・特性を配慮できるような「気づきメモ」の内容を検討しております。

 

(2012年7月 星が丘寮)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。