リスクマネジメントの取り組み

函館青年寮(2014年8月)

 

函館青年寮 気づきメモの取り組みから

 

 函館青年寮は、昭和50年に開設された障がい者支援施設です。平成13年の改築移転後はユニットケアによる生活単位の小規模化や完全個室化された住環境を生かして、集団生活でありながらも個別配慮を優先した生活支援を行っています。

 平成26年8月1日の函館青年寮の平均年齢は53.3歳(男性54.0歳、女性52.6歳)となっており、高齢化の影響からここ数年で急激なADLの低下や、疾病等の増加から日常生活の様々な場面でリスクが高まっているのが現状です。

 

気づきメモの取り組み

 気づきメモの取り組みを通して、日々の生活の中に潜んでいる危険の察知や事故に対する予防を目的に行ってきましたが、昨年度よりリスクマネジメント委員の他に各寮で担当者を決め、若い職員や経験の少ない職員に対しても配慮をする事によって、気づきメモを提出しやすい状況を作り取り組みました。集計結果は以下の通りです。

 

・予想事故の分類
転倒 転落 打撲 裂傷 火傷 感染症 その他
23件 3件 2件 8件 1件 2件 8件

 

・時間帯の分類
6:00
〜9:00
9:00
〜12:00
12:00
〜14:00
14:00
〜16:00
16:00
〜18:00
18:00
〜20:00
20:00
〜22:00
22:00
〜6:00
5件 12件 3件 5件 6件 6件 6件 2件

 

・場所別の分類
居室 ホール 台所 廊下 風呂場 脱衣場
9件 5件 5件 2件 6件 4件
乾燥室 洗面所 トイレ 玄関 屋外階段 屋外
2件 2件 2件 5件 1件 4件

 

集計結果のまとめ

 平成25年度は47件の気づきメモが提出されましたが、集計の中で一番多かった分類は転倒・転落に関するもので、26件となっており全体の55%を占めています。転倒・転落については毎年提出数が一番多く、事故・ヒヤリハットの報告数でも同様の結果が出ているため、職員が日頃より強く意識していることが伺えます。

 場所の分類としては全体の40%が水回りに関する部分(風呂・洗面所・台所等)となっており今後も環境の整備について改善を重ねていく必要があります。また、前年度までに比べると居室が9件(全体の20%)と増えています。完全個室化となっている函館青年寮では目が届きにくい場所でもあり、高齢化や身体機能の低下が進む中、一層注意が必要になってくると感じています。

 

おわりに

 取り組みを継続することで、職員一人ひとりの意識が少しずつ高まってきていることを感じていますが、それを上回るスピードで利用する方達の身体機能の低下が進み、施設内に潜むリスクが増加しているのも事実です。

 今後も現状に満足せず、職員一人ひとりが様々なリスクを的確に判断し、利用者の方達が安全・安心な生活を送って頂けるように、努力していきたいと考えています。

 

(2014年8月 函館青年寮)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。