リスクマネジメントの取り組み

おしま菌床きのこセンター

 

リスクマネージャーのコラム

 

「”整理整頓”は仕事の基本 おしま菌床きのこセンター」

 

 おしま菌床きのこセンターは、福祉施設ではありますが菌床培地製造から選別・出荷までを一貫生産ラインとして管理し、年間240トンの生しいたけを公設市場に出荷する一大生産事業所であります。 利用者定員は60名ですが、同法人他施設の利用者もハウス栽培や摘みとり作業、廃棄培地のリサイクルなどに携わっており、それぞれの利用者と支援職員を合計すると総勢141名です。
はたらく場所は別々でも全行程、全部所が一体となってきのこ事業を盛り上げ、どの顔のどの眼差しにも生産者のよろこびと自信に満ちています。昨年度通所率は98.2%。
皆、自分の仕事に責任感があって仕事が大好きなのです。

 

 事業規模が大きければ大きいだけ、また従業者の数だけリスクは増えていきます。
とくに培地製造のための大型圧力容器や高温ボイラー、電動ミキサー、運搬車両、自動パック機のベルトコンベアとギヤ、摘み取り用のハサミ、工具のドライバーなど、 大小さまざまですが管理や使い方を間違えば大きな事故に結びつく場面、物が、当センターにはいっぱいあります。
「人間はミスをおかすもの(ゴールドマン)」である以上、事故ゼロの取り組みはすべてに優先し、毎月、毎日、毎時間、一瞬たりとも気を抜けない最重要課題で、 事故の予測と対策、教訓を生かすことが必要です。

 

 当センターの三大事故(発生数)は、「転倒」「切り傷」「接触」です。
どれも作業時間中の事故ですが、たとえば「切り傷」は、しいたけをハサミで摘取る際の不注意による切り傷です。平成20年度は年間で5件の発生でした。 年間を通してみて、摘取り量(日)の多寡、曜日や時間帯には関係ありませんでした。対策としては、その都度、直接的原因を検討整理し、「携帯用ハサミケース」 「摘取り時の手袋着用」「ハサミの目的内使用」などの具体的対応を徹底しました。その結果、翌年22年度の「切り傷」事故は1件となっています。 さらに、ゼロ件をめざしてミーティングでの呼びかけや職員との組み合わせの工夫などに取り組んでいます。

 

 また通所途中の事故予防も必要です。幸い重大事故には至っていませんが開所以来では2件の交通事故がありました。信号が変わりそうになってあわてて横断歩道に飛び出したり、 車道に入って信号待ちのバスを追いかけたりなど、危険な事例もありました。これらに対して直接的な対応は出来ないのですが、可能な限りの個別的配慮を行っています。
横断歩道を渡らなくとも済む停留所の提案、時間に余裕が持てるように施設バスの出発時刻の調整、随時に状況把握をしながら援護策を考えています。

 

 当センターの事故防止の基本は、一に「段取り確認」、二に「動線管理」、三に「整理整頓」ということです。服薬や摂食等の生活支援と作業機器の安全管理など個別的で具体的な事故防止策は当然の取り組みですが、 日々刻々に変化する作業状況に的確に対応するにはその手順や段取りがつねに明瞭であること、利用者と職員の動きが大きな視野でみて合理的な動線であるべきだと言うことです。
整理整頓は言うまでもなく、能率の良い仕事は結果的にも道具の置き場所や手入れも含め、作業環境がきれいに整っているものです。

 

 作業量や出荷量も大事ですが、気配り・目配り・手配りの行き届いた「安全」が第一でそれなくして利用者のはたらく意欲は守れないと思っています。

 

(2011年4月 おしま菌床きのこセンター)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。