リスクマネジメントの取り組み

つくしんぼ学級 (2014年3月)

 

つくしんぼ学級 気づきメモの取り組みから

 

つくしんぼ学級の概要

 つくしんぼ学級は、昭和50年8月、発達につまずきや偏りがあるお子さんに専門的な早期療育を行う場として開設されました。平成16年4月に現在の北斗市追分に移転し、平成24年度より児童発達支援センターとなりました。平成25年度は、児童発達支援、保育所等訪問支援、障害児相談支援、日中一時支援の4事業を行っています。

 児童発達支援では、3歳児9名、4歳児21名、5歳児11名の計41名のお子さんが通園しています。園児が8〜9名で1クラスを構成し、全部で5クラスあります。各クラスには職員が3〜4名配置されており、必要に応じてフリー職員がクラスの療育を手伝っています。

 保育所等訪問支援では、渡島管内の6か所の保育所や幼稚園に在籍する7名のお子さんの療育を行っています。

 障害児相談支援では、日々のご家族の相談にのり、お話を伺いながら、児童発達支援、保育所等訪問支援、放課後等デイサービスを利用したいというお子さんに対しての「障害児支援利用計画」を作成し、定期的にモニタリングをしています。

 日中一時支援は、20名の就学前のお子さんが利用しています。

 

つくしんぼ学級の取り組み

 つくしんぼ学級では、事故防止・事故対応マニュアルを作っています。年度始めの4月に、直接園児の支援に当たる職員(パートタイムの職員も含む)の他に、管理職、調理員、バス運転手、相談員の全職員に手渡して、どの職員でも、いつでも目にすることができるようにしています。マニュアルは

 ①けがへの対応、②投薬、③傷の手当、④感染予防、⑤嘔吐時の対応、⑥バス緊急時の対応、⑦火災時の対応、⑧地震時の対応、⑨個人情報保護の対策

 という項目に分かれています。

 また、これまでの「気づきメモ」や「ヒヤリハット」の蓄積から、24年度に事故防止・事故対応マニュアルの中の主に「①けがへの対応」について改訂を行いました。場所(クラス・園庭・室内ホール・グラウンド・玄関・廊下・バス・外出先(園外療育等)・どの場所でも)と、怪我等の分類(転倒・衝突・転落・溺れ・異食・誤嚥・投薬ミス・設備不良・無断外出・自傷・他傷・体調不良・その他)ごとに、注意の視点と万が一事故が起きた時の対応について、表にしてまとめました。この「注意の視点」が、これまでの気づきメモの蓄積から導き出された視点です。

 マニュアルは作成されるだけでは意味がありません。しかし、マニュアルがあっても、毎日目を通したり、それを暗記して覚えたりするということは現実的ではありません。

 私たち職員は、療育後にクラスごとに職員が集まって、その日の療育の振り返りをほぼ毎日行っています。その振り返りの話し合いの中に、その日の療育中に起こったヒヤリハット(つくしんぼ学級では、通院や入院を要する怪我を事故・それ以外はヒヤリハットと捉えています)報告をそれぞれの職員で話題に出し合って、情報を共有するようにしています。もちろん、ヒヤリハットが起こった時にお子さんのそばにいた職員の責任を問うことが目的ではなく、一人一人のお子さんがどのような怪我をしやすいのか、どのような行動の特性を持っているのかを確認し合うための話し合いです。

 先輩職員が率先してヒヤリハット報告や気付きメモの話題を出すことで、それを聞いている後輩職員もヒヤリハットを話しやすくなります。結果的に職員のリスクマネジメントに対する意識が高まり、園全体の意識が高まっています。

 

 こうした職員の日々の積み重ねから、つくしんぼ学級では平成25年度の4月〜3月までの1年間に、3419件のヒヤリハットの報告がありました。これほどの数のヒヤリハット報告を挙げることができるということは、園児が安全な環境で活動できるよう、職員一人一人がリスクマネジメントに対する高い意識を持って日々の療育を行っているということだと思います。職員間で何でも話し合える雰囲気を作ることが、リスクマネジメントを進めていく上で、重要だということをリスクマネジャーとして実感しています。

 

 平成26年度も、事故件数ゼロを目指して、一人一人のお子さんがどのような怪我をしやすいのか、どのような行動の特性を持っているのかを日々、職員間の話し合いの中で確認して行きたいと思います。安全な環境を整え、一人一人のお子さんの特性を捉えた支援・療育をしていくことがリスクマネジメントであり、質の高い支援・療育に結びついていくと思います。

 

(2013年3月 つくしんぼ学級)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。