リスクマネジメントの取り組み

ゆうあい幼稚園 (2012年7月)

 

ゆうあい幼稚園の気づきメモの取り組みから

 

 ゆうあい幼稚園は、昭和50年4月、幼児教育の場をこの地域にという七重浜地区の住人の強い要望と、『障がいを持つ子も持たない子も共に育つ場』として開園しました。 今年度は3歳児43名、4歳児56名、5歳児74名、計173名が在籍し、そのほとんどの園児が通園バスを使用して幼稚園に通っています。

 

気づきメモの取り組み

 平成19年4月より広い敷地と自然いっぱいの新園舎になってからは、子どもたちの行動範囲も広くなり、より一層、職員の把握が事故防止の中で重要になりました。

 当園では、リスクマネジメントの取り組みの一つとして「気づきメモ」を職員間で出し合うことを行っています。これまでの事故報告の集計結果から、転倒や衝突事故が多いことがわかりました。 幼児の発達段階として体の使い方が十分でないことに加え、集団の大きさから、転倒や園児同士の衝突といった小さな怪我が多くあります。そこでこのような事故の原因や、 さらにはその背景にある大きな事故に繋がりかねない危険に、事前に職員が気づき、防ぐために気づきメモを導入しています。

 

 今年度は、職員での危険に対する共通理解をより明確にするために昨年度までの気づきメモの集計から子どもたちが主に活動する『保育室』『遊戯室』『園庭』の3か所について予測される事故と事故を起こさない為の対応をリストアップし、 職員全員に配布して確認をしました。中でも新年度が始まった4月、5月ならではの気づきとして、「玄関からの飛び出し」がありました。早くお母さんに会いたい、 淋しい気持ちや初めての集団生活での不安な気持ちから飛び出すことがあるかもしれない、新任職員が玄関の施錠を忘れるかもしれない、などの予測のもとに、 園児が安心できる過ごし方はもちろん、環境設定や子どもたちに園での過ごし方や大事な約束をどのように伝えるかを考えてきました。 また、時期ごとに打ち合わせでリスクマネージャーの方から、予測される事故を伝え、どのように気をつけるか、処置の用意を伝えるようにしています。 (例:夏期〜衣替えで半袖とショートパンツの着用により、転倒時の擦り傷が増えるため、消毒薬、絆創膏の不足がないように救急箱の中身の補充に配慮する等)

 

 幼稚園では、ほぼ全職員が集まって毎日打ち合わせを行ったり、定期的に会議を行うことが出来るため、危機意識が高い職員からの呼びかけや提案が全体で話し合うことができ、 事故防止や職員の意識を高めることに大いに役立っています。またその話し合いから、廊下を走る園児へ統一した関わりができるようになり、 廊下での園児の衝突件数を減らすことにもつながりました。今年度も新しく入園した子どもたちの様子に合わせて、新しい気づきについても確認し、 職員の意識を高められるようにしています。

 

今後の課題

 保護者の方から、大切なお子さんの命をお預かりしている幼稚園には常に危険への気づきに敏感であることが求められています。新任職員もベテラン職員と同じように、当たり前のように見える小さな気づきの裏に、 大きな事故が潜んでいることに気づくことが求められます。そのためにも、これまでの気づきメモを職員全員で把握し、新たに起こるかもしれない事故の可能性を見逃さず、 一人が気付いた危険を職員全員の気づきとして、一人ひとりの資質をさらに高めていきたいと思います。 しかしながら、幼児期には小さなケガはつきものです。これまで同様事故を起こさないように意識を高めながらも、事故が起こった時に素早く的確な対応ができるようにしていくことがこれからの課題です。

 今後も安心して通園していただける幼稚園を目指して、安全対策を行っていきたいと思います。

 

(2012年7月 ゆうあい幼稚園)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。