リスクマネジメントの取り組み

クッキーハウス

 

リスクマネージャーのコラム

 

「クッキーハウスに勤務して日々思うこと」

 

事業所の概要

 

クッキーハウスは平成6年に開設された知的に障がいをもった方たちへ日中活動を提供する通所系の事業所です。現在、生活介護30名、就労継続事業B型25名、定員55名の多機能型事業所となっています。

 

リスクマネジメントの取り組み

 

 活動の内容は名称の通り、クッキー製造とパン製造を主にした食品製造ですので、リスクマネジメントの部分では、火傷・切り傷・転倒が三大事故としてあげられています。

 これらを踏まえ、共通意識として生産活動を主としている事業所は、日々の活動の中で最大限の安全確保に努めていると思いますが、それらの事故に加え『リスク』という側面から、虐待防止や権利擁護も同様に考えられるようになりました。

 利用者の皆さんと関わる日常の中でも、支援者が気づかずに行っている些細なことも、虐待防止や権利擁護の観点から見れば不適切なこととして認識し、防止対策を講じるのがリスクマネジメントです。

 そうした中、平成24年10月から「障がい者虐待防止法」が施行されましたが、その後にも新聞やテレビで、虐待事案が大きく取り上げられるなど後を絶たない状況です。

 昨年度より「障がい者虐待防止・権利擁護指導者養成講座」が各都道府県で行われ、それに伴い伝達研修が各団体で実施されていますが、今年10月27日に行われた、当委員会主催のリスクマネジメント研修会では、日常を振り返る大切さを再認識する場となりました。

 その中では名前を呼ぶ際の『さん付け』とは、ともに歩もうとする心と発表者が表現されていました。

 利用者の皆さんの名前を呼ぶ際は、「さん付け」が当たり前ですが長年の関わりから親しみを込めて、ニックネームや「〜ちゃん」と呼んでしまったことがある私自身も、今更ながら「さん付け」の意味を再確認することができました。

 利用者の皆さんに直接関わるきっかけの敬称ですが、対人サービスの原点をないがしろにしてしまうと、後に虐待に発展する危険性があります。たぶん虐待事案が発生した事業所も、はじめは些細なことにも「だめな事だ」と感じつつ、日常に流されることで風化し、エスカレートしたのではないかと思います。そのような事を繰り返さないためにも、ちょっとした些細なことに違和感を感じ、流されないことが支援者には求められます。

 来年4月から障害者差別解消法が施行されますが、決して法律で定められたからではなく、クッキーハウスの原点として、利用者の皆さんが一職業人として自尊心を育み、笑顔が絶えない安全な活動を提供できるように、「支援=礼儀」を忘れずに取り組みたいと思っています。

 

(2015年12月 クッキーハウス リスクマネージャー 守口 康郎 )

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。