リスクマネジメントの取り組み

侑愛荘 (2013年3月)

 

侑愛荘の気づきメモ集計結果

 

侑愛荘の取り組みから

 侑愛荘は昭和51年に開設された入所定員80名の指定障害者支援施設です。主に高齢期の方達が入所されており、日々生活を送っています。

 平成25年2月末日の侑愛荘の平均年齢は男性71.6歳、女性71.6歳、全体では71.6歳で平均年齢70歳を超えています。近年ADLの急激な低下により多様な問題が発生しており、様々な危険要素が増大しているのが現状です。

 

気づきメモの取り組み

 平成24年度、侑愛荘では気づきメモの取り組みとして、リスクマネジメント委員が主となり、各職員へ呼びかけを行い、気づきメモの提出をお願いし取り組んでもらいました

 本年度は通常の気づきメモの他に冬季期間に起こりうる事故に焦点を当て提出を促し多くの報告がありました。集計結果は以下の通りです。

 

 
・食堂:12件

転倒:5件
転落:2件
誤嚥:2件
異食:1件
火傷:1件
その他:1件

・トイレ:8件

転倒:3件
転落:1件
その他:4件

・ディルーム:26件

転倒:13件
転落:2件
受傷:3件
異食:3件
火傷:2件
その他:3件

・居室:7件

転倒:1件
受傷:3件
衝突:1件
その他:2件

・玄関:11件

転倒:8件
傷受:2件
衝突:1件

・浴室/脱衣場:6件

転倒:5件
溺水:1件

・廊下:4件

転倒:4件

・屋外(施設周辺):16件

転倒:6件
受傷:4件
衝突:2件
その他:4件

・その他:1件

転倒:1件

 

 ※上記の報告の内、冬季期間に関する報告は24件であった。

 

集計結果まとめ

 今年度侑愛荘では91件の気づきメモの提出がありました。集計結果の中で一番多かった分類が転倒・転落に関する報告で51件と全体の56%を占めています。

 転倒・転落事故については侑愛荘で最も報告の多い事故である為、各職員の関心が高く、この様な結果となりました。

 また、近年侑愛荘で増加傾向にある事故の中で、異食についての気づきメモの報告も目立ちました。認知症の方達の異食行動については、判断力の低下や記憶障害、失見当等により食べ物とそうでない物の区別をつけることが出来ず、口に運んでしまうことによると考えられる為、気づきメモから周辺の環境の整備について気を付け、改善できる点は取り組んでいきたいと思います。

 本年度行った、冬季期間に関する報告に焦点を当てた取り組みについても「この期間ならでは」といった多くの情報を得る事が出来ました。今後も他の季節であったり、他の事柄に焦点を当て、取り組みを行っていく予定です。危険予知訓練の一つである気づきメモは、些細な出来事を、危険という観点から見直すことで、事故は起こるものという意識を高めることが出来ます。

 今後もこれまでの取り組みを活かし、リスクの軽減に努め、利用者の皆様に安心で安楽な時間を提供できるよう、日々支援を継続していきたいと思います。

 

(2013年3月 侑愛荘)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。