リスクマネジメントの取り組み

小委員会活動報告8

 

小委員会活動報告 その8

 

小委員会活動の取り組み「通所系」

 

 今年度の小委員会では利用者の方の状態像が比較的類似する小さな3〜4グループで編成され、発言しやすい雰囲気づくりはもちろん、活発な話し合いの場を目指して構成されています。侑愛会の中で通所系では(多機能型)と(生活介護)と事業種別が二つに分かれています。障がい福祉サービス(生活介護)に所属するのは、「函館青年寮通所部」「ワークセンターほくと」の2事業所となります。

 

 小委員会では各事業所に別れ、それぞれの事故事例や悩みや現状・課題について話しをしています。この一年を振り返ってみると、やはり多く話が出てきたのは人材育成についてでした。ヒヤリハット、気づきメモに対する対策、不適切な職員の言動への対応等、職員一人一人の利用される方への質の高い権利擁護意識がなければ、事故を予見する力や、対等な立場を常に意識して利用者の方々に接することができないという視点を持てる人材を育成することが重要だとされました。

 リスクマネージャーだけがわかってても、説明がうまく伝わっているか、職員の意識に繋げ、質の高い事故防止意識や利用者される方一人一人の特性に応じた権利擁護意識を持て、実践へ繋げるよう価値観を共有しなければなりません。

 しかしながら、人はそもそも、それぞれの価値観が違うことも認識し、スーパーバイズしなくてはならないという視点を持つことがリスクマネジャーにはまず求められます。否定から始まるのではなく、教える側も相手の悩みや話しを聞く姿勢を持たなければならないことが話し合われました。お互いの人間関係を作りあげ、担当者一人で悩んでしまうことにならないよう、チームで悩みを考えていくのが大切ではないかと、話し合いを通じて感じました。

 事業所を超えた意見交換はとても重要であり、1事業所の枠組みでは思いつかない発想や情報が得られます。有効な手立ては、事業所に持ち帰って、リスクマネージメントの取り組みを各事業所が、互いに見直しすることができました。

 

 委員会の中で委員長から取り上げられていましたが、障がい者の尊厳を守るために 2012年10月より障がい者虐待防止法の施行がはじまりました。しかし昨年の12月下旬までに道に寄せられている福祉施設の職員による虐待事案報告が道内58件に上ったこと、うち6割以上が身体的虐待であることが新聞に記載されていました。人ごとではなく私たちすべての職員が認識し、常にこの実態を振り返り、一つ一つの支援を実践していかなくてはならないことを、肝に銘じていきたいと考えています。

 虐待ゼロを目指し、小委員会活動での内容を事業所に伝達し、各事業所の虐待防止委員会を中心に、今後も積極的に取り組んで行きたいと思います。

 

(2017年3月 成人期通所系小委員会)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。