リスクマネジメントの取り組み

新生園 (2012年4月)

 

新生園は昭和43年1月に開設され、平成21年4月に障がい者支援施設へ移行しました。 18歳以上の知的障がい者に対して、障がい者および保護者が希望する、生活全般の支援(施設入所支援 定員90名)および日中活動支援(生活介護 定員90名) により、個々人の能力と適正に応じた自立を図ることを目的としています。

 

 

新生園での気づきメモの取り組み

 

 昨年度、新生園ではリスクマネージャーを中心に、リスクマネジメント委員が主となり、各職員へ気づきメモ提出の啓発を行い、 6ヶ月を一区切りとして前期・後期に分けて集計しました。また、その結果を各会議で報告(職員会議・チーフ会議・寮会議等)し検証を行う形で進めました。

 昨年度提出された気づきメモから、事故が予想される内容の集計結果は以下の通り86件です。

 

 

・予想発生事故分類
転倒 受傷 接触 火傷 むせ込み 誤飲 器物転落 器物破損 その他
32件 14件 8件 3件 4件 2件 12件 4件 7件

 

 

 予想される事故内容として「転倒」を取り上げたケースが、全提出数の約4割近い報告がありました。新生園の3大事故の中でも圧倒的に「転倒」が多いことを考えると、 支援者がもっとも注意を払い警戒しているということが良くわかります。

 新生園は近年、疾病や高齢化による急激な身体機能の低下により、歩行や移動に介助や見守りの必要な方が増えていることが、大きな要因となっています。

 また、東日本大震災があった3月以降、「物の転落の危険性」「建物の破損」等、地震が起きた場合に想定される事故内容についても多く出されていました。

 

 

・時間帯について
5:00〜7:00 7:00〜9:00 9:00〜12:00 12:00〜14:00 14:00〜17:00 17:00〜20:00 20:00〜22:00 22:00〜7:00
1件 15件 18件 21件 21件 6件 4件 0件

 

 時間帯については、出勤・退勤の時間帯と、休日の余暇時間や日中活動中など、活発に動きのある時間帯に集中していました。

 

 

・予想発生場所分類
食堂 居室 廊下 玄関 浴室 階段 トイレ
20件 10件 11件 12件 6件 2件 6件
洗面所 洗濯室 ホール 作業棟 休憩室 道路 その他
2件 1件 2件 7件 1件 4件 2件

 

 

 発生場所では食堂・居室・トイレ・廊下など、ハード面についての内容が殆どで、特にバリアフリーになっていない部分に関しての意見が多く取り上げられています。 建物の構造に関しては、大きな課題となっており、今後早急に対応を進めていく必要があります。

 また、「食堂」「玄関」等の人が集まり、流れがある場所での報告も多く、 個別の支援にあたっていて短い時間でも目が届かない場面があるために「危険」との認識が多くの職員が感じていたということが特徴としてありました。

 

今年度の取り組み

 今年度は、提出された気づきメモの中から事例をピックアップして、月に一回程度、リスクマネジメント委員以外の職員にも集まってもらい、 検証と改善の取り組みを実際に現場で見てもらうことで、気付きの視点やイメージが広がるように取り組みを進めてきました。

 情報を共有し、たくさんの眼に触れることで、違った角度からの気付きや対策・改善の立案も活発に出るようになり、自分が担当している以外の場所や内容の報告も増えている等、 着実に職員の危険認識における意識は向上していると感じています。

 実際に今年度は、気付きメモから発信されたことで、玄関の改修工事や床をフロアクッションにする等の大きな改修に繋がったケースもありました。

 

おわりに

 リスクマネジメントの取り組みに終わりはありません。現場の職員一人ひとりが現状に満足せず、常に更なる向上を目指す姿勢を持つことで、施設内に存在する様々なリスクを発見でき、 事故を未然に防止する対策へ繋げることが出来ます。

 利用する皆さんが、安心して暮らしていくことの出来る環境作りを目指し、今後もより質の高いサービス(支援)を提供していけるよう、努力を続けて行きたいと思います。

 

(2012年4月 新生園)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。