リスクマネジメントの取り組み

明生園 リスクマネジメントの取り組み

 

明生園の概要

 

 明生園は昭和43年10月に『ゆうあいの郷』内に開設されました。現在定員は50名で入所者は全員が成人女性です。「安全で安心して暮らせる生活の場を整備する」「利用者が必要とする支援の提供に努める」ことを支援目標としています。年齢構成は20代が2名、30代が7名、40代が17名、50代が8名、60代が12名、70代が2名、80代が2名となっています。最年少は27歳、最高齢は81歳と年齢の幅が大きく見られます。また平均年齢は52.4歳で、65歳以上の方は全体の20%と高齢化が進んでいます。区分構成ですが区分4の方は1名、区分5が19名、区分6が30名で区分6の方が全体の60%を占めています。障がい種別は自閉症・自閉傾向の方が10名、ダウン症が6名、肢体不自由や高齢化等の理由で常時車椅子を使用している方が8名いるなど、介護の必要な方も多くいます。また視覚障がいや聴覚障がいの方もおり、障がい種別も多様化しています。寮構成は重度で高齢化により身体機能の低下がみられ車椅子を使用している方が多い寮や、身の回りの大体のことが自分で行える中等度の方が多い寮など4つの寮で構成されています。

 

接遇スローガンの取り組み

 

 2018年度、リスクマネジメント委員会では、利用者の方々への権利擁護の取り組みの一貫として『利用者の方との接し方に関するアンケート』を法人内の全職員を対象に行いました。アンケートの各項目は「自己評価」と「他者評価」を回答する形式をとっており、自分についての評価だけではなく、周りの職員への評価も行うというものでした。アンケートの全体的な結果として、自己評価より、周りの職員の利用者の方への関り方を厳しく評価していることが伺え、それは職員が無意識に利用者の方に対し不適切な関わりをしている可能性を示唆しているものと考えられました。そのため「自己評価」と「他者評価」の差が大きかった項目について職員の皆さんに意識してもらうことを目的として、『接遇スローガン』として掲示する取り組みを行いました。

 

 最初のスローガンは『コミュニケーションは「さん」付けから』です。これは『利用者の方を呼び捨てやあだ名、子どものような呼称(~ちゃん等)で呼んではいない』というアンケート項目で「いいえ」の回答が多く、また自己評価と他者評価の差が大きい項目でした。4ヶ月間スローガンを掲示し、その後職員の皆さんにアンケートを取った結果、ほとんどの方がスローガンを意識できたと回答し、33名中25名が「さん」付けを守れた、29名の方が他の職員は守れていたと回答していました。この時のアンケートでは他者評価が自己評価を上回る結果となりました。次に掲げたスローガンは『何気ない言葉ひとつに人権意識』です。これは『利用者の方に対して、威圧的な態度や命令口調、大声での叱責などはしていない』というアンケート項目を受けて作成したものです。こちらも4ヶ月間掲示後、職員の皆さんにアンケートを取りました。ほとんどの方がスローガンを意識できたと回答し、32名中25名が守れた、29名の方が他の職員は守れていたと回答、こちらも他者評価が自己評価を上回っていました。スローガンを掲示することでその内容を意識できるとの意見が多かったこと、利用者の方を「さん」付けで呼ぶことが職員の間で定着し、スローガンの効果だけではないかもしれませんが一定の効果はあるものと思われ、その後もスローガンの掲示を継続し行っています。

 

◎過去のスローガン

 

『ちょっと待って!笑顔にもどる6秒ルール』

『出来ていますか?自身の支援 振り返り』

『適切ですか?あなたの言葉 その態度』

『大切にしよう「報・連・相」』

 

 

それぞれ掲示後に職員にアンケートを取っていますが、回を重ねるごとに自身を振り返り回答する項目への記入が増えています。

 

今年度より、リスクマネジメント委員だけでなく、園の虐待防止対策検討委員会にも引継がれ、3ヶ月毎に新しいスローガンを作成し掲示しています。スローガンを掲示することで職員が自身を振り返るきっかけとし、利用者の方への接遇の向上を今後も目指していきたいと思います。

 

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。