リスクマネジメントの取り組み

浜分保育園・東前子育て支援拠点施設(2015年7月)

 

浜分保育園・東前子育て支援拠点施設 気づきメモの取り組みから

 

事業所の概要

 浜分保育園は昭和55年12月1日に開園し、平成27年7月現在、0歳児17名、1歳児22名、2歳児31名、3歳児19名、4歳児21名、5歳児31名の合計141名の保育園です。園の特別保育事業として障がい児保育事業をはじめ、これまでは9つの事業展開をしてきましたが、あらたにもう1つ、27年8月からは病後児保育事業『めり〜』がスタートします。

 

気づきメモの取り組み

 リスクは、普段何気ないところに潜んでいます。事故・ヒヤリハットを最小限に防ぐには、普段見慣れた保育環境から一歩引いた目で振り返り、何気ないことにも意識を向け、一歩踏み込んでその先の危険性を予測するという「気づき」を養っていくことがリスクの未然防止につながるのではないかといわれています。当園も気づきメモに関しては、6月に各職員に提出してもらい、その気づきを基に職員同士で検討し、必要に応じて修理、改善、物品購入しながら秋頃をめどに、気づきリストを再チェックして振り返り、よりよい環境を目指していこうと取り組んでいるところです。

 

・気づきメモから予測された事故内容
転倒 打撲 挟める アレルギー 裂傷 衝突 感電 火傷
33件 21件 18件 8件 8件 6件 2件 1件

 

・気づきメモから予測された危険箇所
保育室 ホール・園庭・他 玄関・廊下
48件 6件 2件

 

・気づきによって検討し、改善する事例(現在進行中)
場所 内容 予測事故 対応
保育室 引き戸のドアの開きが良すぎて勢いよく開いてしまう。 手を挟める クッションガードをつける。
保育室 網戸に子どもが寄りかかり、穴が開いて切れているところがある。 子どもがベランダに転落 網戸の修理。こどもが寄りかからないような工夫。
保育室 物入れのドアノブが子どもの目の高さにある。 打撲 ドアノブにタオルを巻く。
保育室 食堂へのスマートゲートの開閉部位がきついことがあり、閉めたつもりでもきちんと閉まっていないことがある。 転倒
打撲
潤滑剤を塗り、スムーズに開閉できるようにすると共に、閉めたか必ず確認する。
保育室 子どもの手の届くところにあるコンセントがむき出しになっている。 感電 子どもが穴に触れないようカバーをし、しっかり固定する。
保育室 ストーブの前に、物がたくさんある。 火事・火傷 ストーブ利用がない時期のみだと思うが、ストーブ前には年間通して置かない。
トイレ 個室の鍵が壊れている。 手を挟む
裂傷
用務員に再度修理してもらう。
廊下 移動式の絵本棚の場所が定まっておらず、奥行きがある為廊下にはみ出ている。 転倒
衝突
定位置を決めて角ガードをして設置する。
ホール エアコンの汚れが酷い。 アレルギー
不衛生
用務員に定期的に掃除してもらう。

 

 改善事例に関しては、現在取り組んでいる所なので、今後も改善箇所は増えていくと予想されます。職員は自分のクラスだけではなく、互いの部屋の気づきも提出しているので、普段当たり前のように慣れてしまっている部屋にも、他の人の目によって気づくことも多くあることを再確認しました。その中には、「部屋の仕切り棒やパーテーション、クッションマット、エアコンの汚れが酷い」等の衛生面での気づきもあり、保育環境として用意している物のメンテナンス不足が大きな反省点でもあります。子どもたちにより心地よく過ごしてもらうためにも、今後も環境衛生面での細やかな配慮を心がけたいと思います。

 

東前子育て支援拠点施設(萩野児童クラブ・ちいぱっぱクラブ)

 

事業所の概要

 ①萩野児童クラブは、平成24年に、北斗市から委託を受けてスタートし、今年で4年目を迎えます。近隣の萩野小学校に通う児童が利用し、現在1年生12名、2年生12名、3年生10名、4年生7名の合計41名の登録があります。毎日の利用人数は、平均すると約20名で、学年によって下校時間も違うので、時間調整を図りながら、宿題や遊びの時間を設定しています。

 ②ひろば型支援センター『ちいぱっぱクラブ』は、これまで保育園で実施していた小規模型からひろば型となって、平成24年より児童クラブと併設して事業展開しています。遊びのひろばを開設し、子育て家庭の親とその子どもが気軽に遊びに来て相互交流を図る場を提供することを目的に進め、その中で子育てに関する相談や援助、情報の提供、子育て支援に関する講習等を実施しています。現在の登録世帯数は78組で、毎日9時30分から15時まで開設しています。年齢制限はなく、毎日の利用人数は平均7〜8組の親子が利用しています。お誕生会等のイベントがあると平均15〜20組の利用があります。

 

気づきメモの取り組み

 東前子育て支援拠点施設は、建物自体は北斗市が所有していて、当施設の利用者は子どもだけではなく、東前町会や子ども会の大人の利用もあって、施設内全てが子ども向けにできていない為、幼児から小学生に対し危険箇所やリスクが伴う箇所が多いのが現状です。

 

・気づきメモから予測された事故内容
転倒 打撲 挟める アレルギー 裂傷 火傷
1件 4件 2件 2件 1件 1件

 

・気づきメモから予測された危険箇所
児童クラブ室 集会室 玄関・廊下
4件 2件 5件

 

・気づきによって検討し、改善する事例(現在進行中)
場所 内容 予測事故 対応
児童クラブ室 テーブルの端が剥がれて浮いている。 指を挟んだり切ったりする。 すぐにボンドで補修し、完全につくまでガムテープで固定する。
集会室 収納できない会議用テーブルが10台以上ある。 集会室で遊んでいる際にぶつかってしまう。 収納場所がない為、パーテーション等で囲いを作り、角に保護ガードをつけて、入らないように注意していく。
玄関 玄関ドアが両開閉になっているので、スライド戸を幼児が開閉していることがある。 反対側のドアに気づかず指を挟んだり、勢いよく閉めると顔や首を挟む。 必ず職員が受け入れや見送りをして、必要に応じてドアの所について配慮する。
全室にあるパネルヒーター 冬の寒い時期には、温度を上げるため危険である。児童クラブの活動の際、児童の足が挟まる位置にある。 子どもが触って火傷する。
足を挟む。
子どもたちが来たら、温度を下げていく。
活動の際、声がけをこまめにしていく。
廊下 手摺が子どもの頭の位置にある。 遊びの際、移動時等にぶつける。 子どもの動きを把握しながら、声がけをしていく。
全室に敷き詰めている絨毯マット 表面がザラザラしている。 活動中に転倒した場合、擦り傷になる。 感染症が流行の時は特に、床が絨毯の場合に衛生的に良くないので、クッションフロアかフローリングにしたい。
施設内周辺 草木がいっぱいあるので、毒蛾が発生する。 毒蛾に刺されて発疹が出る。 定期的に点検すると共に、用務員に草刈りをしてもらう。

 

 児童クラブは気づきメモの取り組みによって事前に改善できることが多いことや、ヒヤリハットの事例等からあらたに気づかされることも多くあり、事故再発防止に繋がっているように思います。

 

 又、危険は感じていても全てにおいて改善できないという現状を捉えつつも、全てにおいてガードするのではなく、利用しているちいぱっぱクラブの保護者の方や児童クラブの子どもたちに、危険箇所を知らせて注意喚起する事も方法のひとつかと思っています。我々スタッフも、毎日いるとその場に慣れてしまいがちではありますが、気づきメモを定期的に提出することによって、お互いに再認識し合い危険予測に繋がっていくので、今後も取り組んでいきたいと思います。

 

 先に述べましたが、8月からスタートする病後児保育事業によって、本園、分園、拠点、そして病後児と四つの建物に分かれて保育事業を展開していきます。それぞれに配置された職員同士のリスクや気づきに対する意識を高め、より安心して利用して頂けるような環境づくりを目指していきたいと思います。

 

(2015年7月 浜分保育園)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。