リスクマネジメントの取り組み

ゆうあい幼稚園 (2010年6月)

 

ゆうあい幼稚園の取り組みから

 

ゆうあい幼稚園は、昭和50年4月、幼児教育の場をこの地域にという七重浜地区の住人の強い要望と、「障がいを持つ子も持たない子も共に育つ場」として開園しました。現在では3歳児47名、4歳児62名、5歳児63名、計172名が在籍し、そのほとんどの園児が通園バスを使用して幼稚園に通っています。

 

気づきメモの取り組み

 当園では、昨年度よりリスクマネージメントの取り組みの一つとして「気づきメモ」を職員間で出し合うことを行っています。

 数年前から行っている事故報告の集計結果から、転倒や衝突事故が多いことがわかりました。幼児の発達段階として体の使い方が十分でないことに加え、集団の大きさから、転倒や園児同士の衝突といった小さな怪我が多くあります。そこでこのような事故の原因や、さらにはその背景にある大きな事故に繋がりかねない危険に、事前に職員が気づき、防ぐために気づきメモを導入しています。

 

 実際の気づきメモの集計をみると、保育室に散乱している遊具を片付けることやロールカーテンのひもを園児の背の高さより高くくくること等、これまでも職員が当たり前のように気づき、配慮してきたことがほとんどでした。その中で気づきメモから環境の見直しを行い、事故の削減に繋がったケースは遊戯室での遊び方です。当園の特徴でもある広い遊戯室ではのびのびと遊べる反面、勢いがついての転倒や衝突が多く見られていました。さらに冬期間は遊戯室内で遊ぶ園児が増えるため、衝突事故が増える傾向があり、いかにしてこのような事故を防ぐかがこれまでも課題となっていました。そこで、昨年度は走って遊ぶ園児も、またじっくりとこま回しや縄跳び、鉄棒に挑戦する園児もともに安全に遊べるよう、遊戯室内を鬼ごっこ等で走るエリアと縄跳びやこま回しをするエリアにロープを張って分けることにしました。しかし、実際にはロープが見えづらく、くぐり抜けや・跳び越えがあり、転倒や衝突に繋がるのではという気づきがでました。そこでさらに、ロープを上下2本張り、目立つよう紅白の色を付け、「くぐらない・とびこえない」ことを知らせる張り紙をつけるようにしました。その結果、園児への周知徹底も図られ、遊びのスペースが明確化されたことで、遊戯室内での転倒や衝突事故の軽減に繋がりました

 

 またその他に、重要な気づきがあった箇所は「避難経路の確保」です。何気なく置いている遊具や椅子等が非常口を狭めてしまい、災害時の避難の妨げになることが出されました。そこで、職員間で再認識し、より意識的に避難経路の確保に努めることができるようになっています。

 

 4月から新学期がスタートしました。今年度も気づきメモの取り組みを続けていくと同時に、昨年度の気づきメモの一覧を全職員が持ち、どこにどんな危険があるのかを再確認した上で保育を行い、事故防止に努めています。

 

今後の課題

 大切なお子さんの命をお預かりしている幼稚園。私たちは、危険への気づきに常に敏感であることが求められています。当たり前のように見える小さな気づきの裏に大きな事故が潜んでいる可能性を忘れず、意識的に気づきメモとして出し合うこと。また、一人が気付いた危険を職員全員の気づきとし、一人ひとりの資質をさらに高めていくことがこれからの課題です。

 今後も安心して通園していただける幼稚園として、安全対策を行っていきます。

 

(2010年6月 ゆうあい幼稚園)

 

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。