リスクマネジメントの取り組み

つくしんぼ学級におけるリスクマネジメントの取り組み

 

つくしんぼ学級の概要

 

つくしんぼ学級は、昭和50年8月、発達につまずきや偏りがあるお子さんに専門的な早期療育を行う場として開設されました。平成16年4月に現在の北斗市追分に移転し、平成24年度より児童発達支援センターとなり、平成29年度は、児童発達支援、保育所等訪問支援、障害児相談支援、日中一時支援の4事業を行っています。児童発達支援では、3歳児6名、4歳児14名、5歳児20名の計40名のお子さんが通園しています。1クラスは、園児10名に、職員が4名配置されており、全部で4クラスです。保育所等訪問支援では、渡島管内の9か所の保育所や幼稚園等に在籍する13名のお子さんに対して、それぞれの機関に職員が出向いて療育を行っています。障害児相談支援では、ご家族の相談を受けて、お話を伺いながら対応方法をアドバイスしたり、児童発達支援、保育所等訪問支援、放課後等デイサービス等のサービスの利用に向けて、「障害児支援利用計画」を作成したり、定期的にモニタリングをしたりしています。関係機関と連携を図りながら、お子さんのサービス利用の調整をしたり、支援会議を行ったりしています。日中一時支援は、今年度は主に在園児が利用しています。働いているご家族が増えており、またレスパイトのニーズもあり、利用する人数が年々増えてきています。

 

つくしんぼ学級での事故防止・対応の取り組み

 

つくしんぼ学級では、以前から「事故およびヒヤリハットの分類と定義」を作成し、各職員から挙げられる年間約3000件のヒヤリハットの報告を、それをもとに集計してきました。平成29年度より、事故定義が法人内で統一化されましたので、その事故定義をもとにしながら、つくしんぼ学級で起こりうる事故・ヒヤリハットの定義にアレンジして活用しています。 (以下、「つくしんぼ学級 事故およびヒヤリハットの分類と定義【H29】」参照)

 

つくしんぼ学級を利用するお子さんは幼児ですので、お子さん特有の行動が定義に盛り込まれている項目があります。「遊具等の事故」の中には、 ・大型遊具の遊び方が間違っている ・玩具や道具の使用ミスによる ・遊具・用具・家具等には不備はないが、誤った使用や、体が未発達なために起こる という定義の内容があります。公共の公園では、大きな事故が起こればその遊具は危険遊具と見なされて、使用禁止になったり、撤去されたりすることもあるように、大型遊具で遊ぶ機会を持たなければ、事故は起こりません。はさみのような道具を使わなければ、怪我をすることもありません。しかし、つくしんぼ学級のような児童発達支援センターでは、利用するお子さんたちの発達を支援するという役割があります。お子さんたちが遊具や道具に触れる機会をなくすのではなく、積極的に遊具や道具に触れて活用する機会を持ちながら、それらの安全で適切な使い方を教えていくことが療育です。また、運動する機会を持って、運動機能の発達を促していくことも求められています。そのためには、発達段階に合わせた支援をお子さんたち一人ひとりに行うということになります。適切な支援を継続していくことで、事故を回避していくことができると思います。そのためにも、日々職員間で話し合いの時間を持ちながら、ヒヤリハットを挙げていくことが重要だと考えています。 お子さんたち一人ひとりに起こりやすいヒヤリハットを明確にするために、毎月お子さん一人に1枚のヒヤリハット報告書を用意して、職員間で話し合って挙げられたヒヤリハットを以下の報告書に書き込んでいくスタイルを取っています。 (以下、「ヒヤリハット報告書」「加害・ヒヤリハット報告書」参照)

 

 

このようにお子さん一人に1枚のヒヤリハット報告書を作成することで、お子さん一人ひとりに起こりやすいヒヤリハットの傾向が見えやすくなります。それをもとにして、日々の療育の中で事故が起こらないように環境設定の面で配慮しています。また、ヒヤリハットの傾向を知ることで、支援を必要とする場面や、支援すべき活動内容が明確になるという利点もあり、発達支援を行う際の重要な情報でもあります。

 

まとめ

 

ヒヤリハットをたくさん挙げることは事故を未然に防ぐことに繋がるということ、そしてお子さんたちの発達を促すための情報になるということを意識しながら、今後も、質の高い療育を提供することで安全な療育ができるよう、職員間で協力して、日々の療育を行っていきたいと思います。 (つくしんぼ学級)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。