リスクマネジメントの取り組み

侑ハウスにおけるリスクマネジメントの取り組み

 

「北海道胆振東部地震」

 

はじめに

 

侑ハウスは函館市西桔梗町に平成13年1月に開設した障害者支援施設です。現在、40名の利用者の方が暮らし、日中活動として椎茸栽培や乾燥椎茸等の作業を行っています。

 

地震発生

 

平成30年9月6日午前3時8分、北海道胆振東部地震が発生しました。厚真町で最大震度7を記録したこの大地震において、函館市でも震度5弱の突き上げるような強い揺れが観測されました。

 

発生直後の様子

 

地震発生時、侑ハウスの利用者の方は就寝中であり、夜勤等職員が2名という状況でした。そこへ突然の大きな揺れ、そして現況把握や施設長との連絡などの最中に全道一斉に停電という事態が起こりました。その瞬間、施設内は非常電源による照明に切り替わりました。電気が来ないのでテレビが点かない、つまり肝心な地震や津波などのリアルタイムな情報がわからない。これに関しては、個人のスマホやポータブルラジオでの情報入手に努めました。そして津波の心配はないこと、今後の余震に注意して落ち着いて行動して欲しいことを利用者の方に説明しました。その後、職員が次々に出勤してくると、市内の生の情報(道路の信号停止、交差点での車両事故、コンビニやガソリンスタンドへ客が殺到していた等)も得ることができました。そして、侑ハウスとしての当面の対策が話し合われました。具体的には、利用者の怪我など急を要する事態は起きていないかの確認、内服薬の残数や予定されていた通院の調整、ガス水道の確認、厨房内食材の量、備蓄非常食の量、ランタンや炭コンロの活用、ご家族や関係他機関への連絡(携帯電話使用)などが行われました。さらに、今回の停電が長期化する場合も考慮し、電池や充電器等の追加調達に走ることなどが決まり、各職員分担で行動することができました。その後、非常電源での照明も切れ(稼働燃料終了により)、ランタンでの灯りを準備した午後8時30分過ぎ、函館市内でも比較的早く、西桔梗町周辺は電気が回復して、翌日以降、徐々に日常に戻っていきました。

 

気づいたこと

 

発生直後から電気回復までに、想定以上の様々なことに気づかされました。例えば、情報入手のしづらさ、交通の危険、固定電話使用不可による外部との連絡手段の弱さ(携帯電話の残電量)・炊飯器やIH調理器具の使用不可による代替手段など多岐に渡ります。さらに、今後は冬期間の停電を想定した場合の暖房の手段などにも備えが必要です。また、地震発生直後でも動揺しているように見られなかった利用者の方の中にも、その後の大型台風の接近時に停電がフラッシュバックするのか気になってなかなか眠ることができない方もおられました。その方には停電時の準備物などを説明し、安心して過ごせるよう配慮することで落ち着きを取り戻してもらうということもありました。

 

まとめ

 

大地震による北海道全域の停電という今まで経験したことの無い災害の渦中で、物の備え、職員連携、アフターケア、そして日常時の心構えの大切さを再認識することができました。災害対策のリスクマネジメントとしてだけではなく、日々の支援にも今の気持ちを忘れないでいたいと思います。

 

(平成30年10月  侑ハウス リスクマネジメント委員)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。