リスクマネジメントの取り組み

小委員会活動報告4

 

小委員会活動報告 その4

 

成年期以降入所系事業所

 

はじめに

 

 成年期以降入所系事業所の小委員会は新生園、明生園、ワークショップまるやま荘、星が丘寮、函館青年寮、侑ハウス、侑愛荘の7事業所で構成されています。 平成21年度、22年度は投薬事故の防止をテーマに掲げ、活動を行いました。 各々の施設の投薬管理法をふまえた上で、他施設の良い所は積極的に自施設にも取り入れていく事とし、一定の成果を上げる事が出来たように思います。

 平成23年度からは、「様々な場面で想定される怪我の予防について」というテーマで活動を行っており、 それぞれの施設に入所されている利用者の多くに共通したリスク要因を見いだし、怪我の予防と防止についての対策等を小委員会のチームで話し合う事としました。 以下は平成23年度以降の取り組みを紹介します。

 

小委員会での取り組み

 

・テーマ:「様々な場面で想定される事故と怪我の予防について」

 

① 場面設定

 小委員会において話し合いを進めていく上で最初に行った事は、どういった場面での怪我の予防について設定して活動を行っていくべきかを話し合うことでした。 それぞれの怪我まで至ってしまった事例を各々の施設より持ち寄って、話し合っていくといった方法もありましたが、テーマをより絞り込む事で、 事故の起きやすい場面に特化した対応策が構築していけるのではないかと考えたからです。 話し合いを進めていく上で、様々な意見が出されましたが、より多く挙がった場面としては、入浴時想定される事故と移動時に想定される事故について話し合ってみてはという意見が多く、 最初に入浴時想定される事故について話し合っていく事としました。

② 入浴時想定される事故について

 さて、入浴時想定される事故について話し合いを進めていく上で、 最初に論点となったのが、現在の各施設においての入浴設備が利用者の皆様に適しているかといった点でした。

 それぞれの施設で起きた事故事例を見てみると、設備面の不十分さから起こった事故の事例もそれなりにあり、そのことをふまえて、 近年、入浴設備について改修工事をした施設も多く、まずは各施設の入浴設備の写真等を持ち寄り、それぞれの施設の改修後の良い点や、 現状で改善すべき点はないかを話し合い、各施設においての今後の入浴支援について活かしてく事としました。

③ 様々な移動時に想定される事故の予防について

 次に現在活動を行っているのが、様々な移動時に想定される事故の予防について、というテーマでの話し合いです。 こちらも最初に話し合われたのが各施設で移動時にどの様な事故が発生し、その後どの様に対応をしているかといった点です。 特に、現在、力を入れて行っているのが、入浴の話し合いの際と同様に、各施設で移動に関わる改修工事を行った様々な箇所の写真や資料を持ち寄り、 お互い確認していく事で今後、各々の施設における改善のヒントにしていこうと取り組みであり、今後も継続していきたいです。

 

まとめ

 

 現在行っている小委員会での活動は、施設単独では得る事の出来ない、情報や発見が沢山あります。他の施設と連携し様々な事を話し合う事により、 より自分達の施設のニーズに合った支援を、探していく為のヒントとなり得るのが、小委員会の活動です。 今後、一つでも多くの事故を減らし、全ての利用者が安心・安全に暮らしていける施設を目指して、各施設日々努力して参ります。

 

成年期以降通所系事業所

 

 平成23年度の小委員会での活動は、通退勤時のリスク(事故)に伴うマネージメントのあり方と、その責任の所在についてがテーマの中心でした。

 それぞれの事業所の対象利用者や環境の違いから、画一的な方針を見いだすことはできませんが、自力通勤の場合、送迎形態の場合等、さまざまな形態と、 それに伴うリスクをこれまでの事例を通じて情報交換することができ、今後の通退勤の支援に生かすきっかけができました。

 また「責任の所在」について、24年1月には保険会社の講師の方より、基本的な法的考え方をお聞きし、一般論については理解を進めることができました。 保護者の皆様との契約時や、個別支援計画の作成の際、通退勤の支援についても再度「安全と自立支援」の両面から、その支援方針を確認する必要もあります。 その際には法的側面の基本的な「責任」についての理解をお互いに確認したうえで、支援を実施していくことも必要かと思いました。

 平成24度の委員会のテーマは、事業所外での活動の際のリスクについてです。その中で、職場への移行に向けた取り組みの場面について、いわゆる「実習」場面が上げられています。 主に現在の自立支援法には、この実習の形態についても、一定の枠組みがあり「施設外支援」「施設外就労」等があります。 事業所外に出るということは、環境とサポート形態が変化するので、当然リスクマネージメントも更に高まるということが予測されるので、 安全確保、危機管理の観点からのしっかりとした職場アセスメントを行い、職場側との連携で、マネージメントを行うことが求められるのでは、という話題になっています。
その形態もさまざまで、複数の利用者に職員が必ず毎日付く形や、巡回での支援で自立度の高い形態まで、個々の目標に合わせた設定です。 ですから、職場側の担当者と、形態に合わせ、危機管理・事故、怪我防止といった点でも、しっかりと役割分担を決め、安全を確保する必要があり、日々の確認が必要です。 そのためにも連絡体制をしっかりと機能するようにしなくてはなりません。

 また、これについても、通退勤同様、責任の所在ということが話題になっています。 業務委託契約書等、しっかりと整備する、また、賠償責任の方法についても明記する必要がある等の意見が出ています。 契約書と法的効力については、必ずしもイコールではありませんが、リスクを予測して、職場側と一定の取り決めをすることは必要不可欠だという意見も出ています。 今後更に、小委員会での話し合いを進めて行きます。

 

(2013年1月 小委員会)

※気づきメモとは、事故やヒヤリハットに至る前に日常に潜んでいる危険に気づき、予想される事故に対して事前に対応をすることで、大きな事故を未然に防ぐ事を目的とされています。