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児童発達支援事業所
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リスクマネジメント委員会では昨年度一年をかけ、侑愛会全体で事故定義の見直しと統一が図られました。それまでは各施設の事業形態や各施設の利用者像に応じ、それぞれの基準が用いられてきていましたが、それによって同様のケースでも施設によって事故と捉えるかどうかに差異が表れている状況でした。
とりわけ高齢期を迎えた利用者の方々を支援している侑愛荘では、転倒事故の発生頻度が高く、転倒だけでも事故報告の件数は年間100件前後にのぼりました。その他の事故を合わせると、年間180件ほどの事故報告件数となるのですが、それに対してヒヤリハット報告の件数は年間10件に満たないほどで、これは、「一つの重大事故の背景には、29件の軽微な事故があり、その背景には300件ものヒヤリハットが存在する」というハインリッヒの法則から考えても、いささか矛盾のある結果と言わざるを得ない状況となっていました。また、侑愛荘で使用していた従来の事故、ヒヤリハット報告書の書式は、要因分析からその後の対策まで、十分な検証がなされるよう工夫して作られていた半面、検証項目の多さと、パソコンでの打ち込みが必要な形態であったため、職員の業務を圧迫していたことも否めません。
加えて、昨年度まで侑愛荘では「発生即事故」という考えに基づいて報告がなされていたため、必然的に事故報告書の件数が増加し、ヒヤリハット報告までカバーしきれない実情もあったと思われます。
更に、昨年行われた事故定義の見直しにより、事故の基準として医療的処置の有無が加わりました。新基準に照らし合わせると、侑愛荘での転倒事故の大部分はヒヤリハットの事例ということになりました。そのため、今年度を迎えるにあたり、事故報告については従来通りの様式を使用して十分な要因分析と再発予防を検討することとし、ヒヤリハット報告についてはチェックシート式の比較的簡易な様式を準備しました。これは、従来の事故報告書では、分析事項の多さから、事故発生から報告書提出までに時間を要してしまうというデメリットがあったため、ヒヤリハットに関しては即提出が可能な形を取り入れるということが目的でした。それにより、軽微な事例については即報告・分析が可能となり、重大事故については、よりしっかりとした検証がなされるよう、二つの報告書の意味づけが明確となりました。因みに、4月〜6月の四半期では、集計結果は「事故4件、ヒヤリハット38件」でした。
提出方法においては、一定の成果が確認されたのですが、課題も顕在しています。ヒヤリハット報告書をチェック方式にしたことで、提出スピードは上がりましたが、事例ひとつひとつについて検証することが難しくなってしまったのです。より詳細な事例報告書にしようとすれば、必然的にチェック項目や記述での報告も必要になってきます。提出までのスムーズな流れと報告内容の具体性を両立できるよう、まだまだ修正が必要だと感じています。
(侑愛荘リスクマネージャー)